粘度計で想像力を働かせてエチュード

演技の世界に魅了されて早十数年が経ちます。
憧れの俳優に少しでも近づけるように日々訓練と勉強をしています。
ゆくゆくはハリウッド俳優に、などと大きな目標を掲げていますが、言う分には迷惑はかからないでしょうね。
俳優は演技力が重要なのはもちろんですが、表現力や想像力がかなりのウエイトを占めます。
色々な事に注目して常にアンテナを張り巡らせ、演技のヒントとして参考にします。
身の回りにある物や目に見える画像、聞こえてくる音など全ての事が演技に繋がると感じています。

稽古で与えられた難しい課題

俳優を目指してずっと稽古場に通っているのですが、その場で出会った仲間達と楽しく過ごすのがひと時の休息となっています。
時には飲み会での演技の討論になり、朝方まで熱く語りあう事もあります。
厳しい演出家の方の愚痴などを言い合う事もたまにありますね。
この間も稽古の時に課題を与えられたのですが、かなりハードルが高いエチュード(演技の世界ではいわゆるアドリブの成り切り演技のような事です)の難題で多くの想像力を必要とする内容でした。
自分は演技に繋がるものは全て取り入れていますので、ヒントになる物は無いかと身の回りを見渡します。
キッチンには鍋やフライパン(調理器具の気持ちになって練習した事もあります)ソファーや椅子の苦労や痛みなどもインスパイアしていきます。
ふとパティシエを志して通っていた専門学校時代に使っていた粘度計の存在を思い出します。
あいつ今頃どうしてるかな、そんな懐かしさにもかられ収納扉を開いたのです。

多くの物事を知っておく必要がある

粘度計とは物質の粘度の割合などを調べる機器で、パティシエなどのお菓子作りの世界では卵黄やチョコレートの粘度を計る際にも使います。
収納扉から現れた粘度計、久しぶりに見るその姿は若い頃の奮闘していた自分を思い起こしてくれた気がします。
見つめていると何か自分の考えを現している事も感じてきます。
この道具はバランスを計る物、自分は演技についてのめり込み過ぎてはいないか、もっと他の事に目を向けてバランスを取る事も必要ではないかなどと思わせてくれます。
演技だけにのめり込まずに色々な物事を知り、視野を幅広く持つべきだとこの粘度計が教えてくれた気がします。
「ありがとう」との思いを胸にそっと収納扉の中に再びしまい、演技の稽古を再開しました。
思いの他想像力が膨らみ、良いバランスで集中力も増加して充実した稽古につながりました。
夢のハリウッド俳優の人達もこんな感じで練習していたのかな、などと考えながら翌日の稽古に向かいました。
私の練習方法に粘度計を取り入れている事は少し特殊かな、と思い仲間たちには内緒にしています。

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